東京で『交通事故』に強い弁護士

交通事故で死亡した場合の慰謝料

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2021年1月5日

1 慰謝料を請求できる人

慰謝料とは、精神的苦痛に関する損害に対して金銭的に賠償するものです。

交通事故の被害者が亡くなった場合、亡くなった被害者は、被害者本人が被った慰謝料を請求することができません。

そこで、被害者の相続人が、被害者本人の慰謝料請求権を行使することになります。

また、被害者の遺族である父母、配偶者、子は、被害者の死亡によって精神的苦痛を被ることが通常ですから、遺族固有の慰謝料を請求することができます。

2 慰謝料の3つの計算基準

慰謝料の計算基準は、①自賠責基準(自賠責保険会社が用いる基準)、②任意保険会社基準(加害者の任意保険会社が用いる内部基準)、③裁判基準(交通事故裁判において裁判所が用いる基準)の3通りに分類されます。

慰謝料は、通常、①自賠責基準≦②任意保険会社基準<③裁判基準、の順で高くなります。

弁護士は、裁判基準を用いて慰謝料を算定します。

3 亡くなった被害者本人の慰謝料

①自賠責基準

自賠責基準では、被害者本人の慰謝料の金額は400万円と定められています。

参考リンク:国土交通省・自動車総合安全情報・死亡による損害

②任意保険会社基準

保険会社ごとに慰謝料の金額は異なりますが、多くの任意保険会社は、自賠責基準を参考にして計算するため、裁判基準と比べると低額にとどまります。

③裁判基準

裁判基準による慰謝料の金額は、過去の裁判例の集積を踏まえて、次のような一応の相場が示されています。

・被害者が一家の支柱であった場合:2800万円

・被害者が家事を担う主婦、子育てをする母親等、一家の支柱に準じていた場合:2500万円

・被害者が独身の男女、子ども、幼児等であった場合:2000万円~2500万円

上記の金額は、亡くなった被害者本人の慰謝料と後期4の遺族固有の慰謝料とを併せた総額です。

そのため、遺族が複数人いる場合の慰謝料総額の配分は、遺族間の内部の事情を考慮して決められることになります。

また、上記金額は、あくまで一応の目安を示したものであって、具体的な事情によって増減されます。

例えば、独身者であっても、高齢な父母や幼い兄弟を扶養したり、仕送りをしている場合等は、一家の支柱に準じていたといえるでしょう。

4 遺族固有の慰謝料

①自賠責基準

慰謝料を請求できる主体は、

・被害者の父母(養父母を含む。)

・被害者の配偶者

・被害者の子(養子、認知した子及び胎児を含む。)

に限られます。

支払われる慰謝料の金額は、以下のように定められています。

・請求権者が1人の場合:550万円

・請求権者が2人の場合:650万円

・請求権者が3人以上の場合:750万円

被害者に扶養されていた者がいるときは、上記金額に200万円が加算されます。

②任意保険会社基準

保険会社ごとに慰謝料の金額は異なりますが、多くの任意保険会社は、自賠責基準を参考にして計算するため、裁判基準と比べると低額にとどまります。

③裁判基準

前記3で述べたとおりです。

なお、裁判基準では、被害者の配偶者、子、父母に限られず、内縁の配偶者等の近親者も、近親者固有の慰謝料を請求することができます。

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