交通事故に関する遅延損害金
1 交通事故の解決まで
交通事故が発生してから、解決まで数か月かかる場合が多く、中には、数年かかるケースもあります。
相手方が事故状況・後遺障害の有無など様々な点で争ってくることも解決まで長引く要因の1つです。
また、入通院慰謝料が通院終了もしくは症状固定までの期間を基準として算出されることも1つの要因です。
その他にも、後遺障害等級認定を受けるためには、自賠責保険会社に対して後遺障害申請をすることが一般的ですが、申請から結果が出るまで1か月~3か月程度かかるケースが多いことも要因の1つです。
このように、解決までに長期間要した場合に、何らか賠償金の上乗せができないかというご相談が多いです。
賠償金の上乗せの一つとして、遅延損害金というものがあり、上記の回答の一つとして、遅延損害金についての説明をすることがあります。
2 遅延損害金の発生時期について
交通事故における賠償請求の権利は、不法行為に基づく損害賠償請求権です。
不法行為に基づく損害賠償請求権は、不法行為の時に発生し、かつ、何らの催告を要することなく遅滞に陥るものと解釈されています(最判昭和37年9月4日民集16巻9号1834頁)。
参考リンク:最高裁判所判例集
そのため、交通事故の賠償金は、事故日から遅延損害金が発生することになります。
3 遅延損害金の金額について
遅延損害金は、不法行為に基づく損害賠償請求権の損害額に対して事故日から支払済まで年3%の割合で発生します(令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合)。
たとえば、事故日から1年後において、賠償金1000万円が支払われる事案であれば、30万円(1000万円×0.03)を遅延損害金として請求できます。
このように、解決までに時間がかかる事案や損害額の大きい事案の場合には、遅延損害金も比較的大きな金額となります。
4 実際の遅延損害金の取り扱い
もっとも、示談段階(訴訟外で当事者の合意によって解決する場合)では、保険会社は遅延損害金の支払いを拒否することが一般的です。
また、訴訟提起に至った場合でも、交通事故案件は和解(裁判上の和解)で解決する場合も多く、この場合には遅延損害金の一部を調整金として和解金に計上することが多いです。
これに対して、判決まで至ると、遅延損害金が満額認められます。
5 弁護士法人心 東京法律事務所
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