人身傷害保険のメリット
- 1 人身傷害保険とは
- 2 人身傷害保険に加入するメリット
- 3 人身傷害保険が使える範囲
- 4 人身傷害保険ではすべての損害が填補されないことがある
- 5 加害者に不足分を請求する際の注意点
- 6 交通事故に被害に遭われた時はまず弁護士に相談を
1 人身傷害保険とは
人身傷害保険は,被保険者が交通事故の被害者となった場合,被害者の被った治療費や慰謝料などの人身損害をあらかじめ加入時に設定された保険金額の範囲内で支払うというものです。
2 人身傷害保険に加入するメリット
⑴ 交通事故によって生じたケガの治療費,慰謝料などの損害は,原則として加害者が被害者に対して賠償するものです。
加害者側が任意保険に加入していない場合は,自賠責保険から支払われる金額を超える損害額を,加害者自身が支払うことになります。
しかし,加害者に資力がなければ,被害者は,損害の賠償を受けられないことになりかねません。
また,被害者に過失がある場合,被害者側の過失部分の損害については,加害者側に請求することができません。
⑵ このような場合に,大変意味のある保険が,被害者自身が加入している保険の中の人身傷害保険です。
人身傷害保険の保険金は,被害者加入の任意保険会社の約款に定められた支払基準によって算定された損害額のうち,被害者自身の過失分も含めて,加入時に定められた保険金額の範囲内で支払われることになります。
そのため,加害者に資力のない場合や,こちらに過失がある場合でも,一定の補償を確保することができます。
3 人身傷害保険が使える範囲
人身傷害保険は,記名被保険者だけでなく,その配偶者や同居の親族などが保険に加入している自動車に搭乗中,事故に遭ってけがや死亡した場合も補償を受けることができます。
4 人身傷害保険ではすべての損害が填補されないことがある
ただ,人身傷害保険の支払基準は,裁判所基準よりも低いのが通常であり,また,加入時に定められた保険金額の範囲内でしか支払われません。
人身傷害保険で支払われた金額だけでは損害の填補として足りない場合,被害者はその差額について,加害者に請求していくことになります。
5 加害者に不足分を請求する際の注意点
⑴ 人身傷害保険を使った場合に,加害者に不足分を請求する際は,法律的に複雑な問題があり,注意が必要です。
⑵ 人身傷害保険によって補償を受けた損害は,本来は加害者側が支払うべきものです。
そのため,加害者に代わって支払いを行った人身傷害保険の保険会社は,被害者が加害者に対して有する損害賠償請求権の一部を,加害者に請求することができるようになります。
これを損害賠償請求権の代位取得といいます。
⑶ 保険会社の代位取得した部分については,被害者は加害者に損害賠償を請求することはできません(その部分は保険会社からすでに受け取っており,加害者にも二重に受け取ることになるため)。
⑷ ただし,被害者に過失がある場合の人身傷害保険の保険会社が代位取得する損害賠償請求権の範囲に関しては,判例上の取り扱いが確定していない問題があり,ケースによって,相手に請求できる金額が変わってくることがあります。
専門的・法律的な問題がかかわってくるため,交通事故に精通した弁護士に一度相談することをおすすめします。
6 交通事故に被害に遭われた時はまず弁護士に相談を
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交通事故でお困りの方は,お気軽にご相談ください。